05. 基準値ノート

事故前の国の安全基準と、事故後の基準は違うのです。
事故後、日本は安全基準をひきあげました。
それがどのぐらいのリスクか、目安を知っておくためのメモです。

  • 被曝について。

WHOなどが定め、日本の法律が定めている、
放射線の被曝限度は、一年で1ミリシーベルトでした。
(1ミリシーベルト(msv)=1000マイクロシーベルト(μsv))
被曝量は足し算なので
(1時間あたりの被曝量)×24時間×365日で、1年分です。

被曝にしきい値はなく、低線量でも被曝量に比例して、発がん率が上がっていく。
だから、できるだけ浴びない方がいいと言われています。

今回の事故で日本が引き上げた基準値は20ミリシーベルト/年。

「1mSvは2500人に一人が癌で亡くなる可能性。20mSvでは125人に一人。
子どもは大人の5倍影響を受けるから20mSv放射線量環境下に置かれた子どもは25人に一人が癌になる可能性を意味することになる」(小出裕章氏)


  • 水の基準値について。

3月17日まで、日本はWHOの基準を守っていました。事故後、引き上げました。

  • WHOの基準値 → (ヨウ素131、セシウム137)10ベクレル/リットル。
  • ドイツ → 0.5ベクレル/リットル
  • アメリカ → 0.111ベクレル/リットル
  • 国際法 原発の排水基準値→(ヨウ素131)40ベクレル/リットル
  •             →(セシウム137)90ベクレル/リットル

3月17日以降の日本の暫定基準値 

  • 乳児 →100ベクレル/リットル
  • 一般 →(ヨウ素131)300ベクレル/リットル(セシウム137)200ベクレル/リットル

今、日本の基準値は、乳児でさえ、国際法の原発基準値より上という、甘さになっています。
ちなみに牛乳や乳製品が ヨウ素300ベクレル、セシウム200ベクレル/リットル となっています。
1年に1ミリシーベルトという法律で定められた安全基準を守ろうとしたら、食品は10から20ベクレルぐらいが一つの目安になるようです。

食品の暫定基準値について

チェルノブイリ事故でウクライナが1997年に改定した放射性セシウムの基準は、飲料水が2ベクレル、野菜は40ベクレル。
日本の基準値は今、このようになっています。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r9852000001559v.pdf



そうはいっても、内部被曝や水については、被曝量を計算するのは無理。

計算してというより、今は基準値があがっていることを知って、ただ避けるしかないです。

ベクレルだのグレイだのシーベルトだの、
耳慣れない数値を、あたりまえのようにつきつけられて、
「そんなの、いちいち、自分でどんだけ食べたか調べられるかー!」
と、ちゃぶ台をひっくり返したくなります。
あまりのややこしさに、3月に水を買いに走った多くの人が、安全宣言が出されたのは、実は基準値があがっているからだということを、すっかり忘れてしまっているようです。

そんな中、一番の心配は、子どもの給食。
基準値を上げ、選ぶ自由がないなら、産地と数値を公開してほしい。
公開しないなら、選ぶ自由を。

チェルノブイリ事故のあと、汚染地の麦と牛乳は子どもたちの給食に出され、食べさせられていたそうです。
かなしすぎる。日本はどうなのでしょうか。